『転生』を読んで · 読書感想
赤ん坊を託されたところから――仙川環『転生』を読んで
仙川環さんの医療ミステリーを、何冊か続けて読んでいた時期がある。『転生』も、そのうちの一冊だ。
細かな展開を今でも覚えているわけではない。それでも、突然赤ん坊を託されるという始まりは印象に残っている。
どうしてこの子が自分のところへ来たのか。そこから出生の事情を調べていくうちに、最初には見えていなかったことが少しずつ分かってくる。
赤ん坊から広がる謎
出生をめぐる謎に、生殖医療の話が関わってくる。自分とは無関係だと思っていた出来事が、別の形で自分につながっていたと分かる。その組み立てが面白かった。
医療の知識が必要な題材なのに、難しい説明を延々と読まされたという印象はない。知りたいことが次々に出てきて、その答えを追ううちにページが進む。
生殖医療そのものにも興味は向いた。ただ、この本を読んでいたときは、問題について結論を出そうとするより、謎がどうつながるのかを知りたくて読み進めていたと思う。
続けて読みたくなる理由
仙川さんの作品には、医療や科学の知識が、事件を追うための手がかりとして出てくる面白さがある。
『繁殖』では、幼稚園という身近な場所で起きる事件の怖さが残った。『転生』で印象に残っているのは、突然託された赤ん坊から、思いもよらない事情が見えてくるところだ。
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