その視野の広さに憧れる――童門冬二『坂本龍馬に学ぶ』
幕末の本を、何冊か続けて読んでいた頃がある。
坂本龍馬をはじめ、その時代を生きた人たちに興味があった。何を考え、誰と出会い、どう動いたのか。ひとつの本を読み終えると、別の人の立場からも、その時代を見てみたくなる。
童門冬二の『坂本龍馬に学ぶ』も、そんな流れで手に取った一冊だった。
今では、他の龍馬の本と記憶が重なっているところもある。この話はどの本に書かれていたのか、と聞かれると、はっきり分けられない。
それでも、龍馬という人物に惹かれていた気持ちは覚えている。
自分のいる場所だけで、世界を考えない。その視野の広さに、憧れがあった。
自分の立場より、もう少し先を見る
本書は、龍馬の広い視野や行動力、日本を世界の中で捉える構想、独自の発想と人間的な魅力を取り上げている。生涯の出来事を知るだけでなく、その考え方に目を向ける本である。
僕が龍馬に惹かれるのも、何をしたかということに加えて、どこから物事を見ていたのだろう、と思うからだ。
藩や立場の枠を越えて考えるというのは、言葉にすれば簡単だ。実際には、自分がそれまで信じていたものを問い直すことにもなる。
僕も同じようにできている、とはとても言えない。むしろ、自分には簡単にできないことだからこそ、惹かれるのだと思う。
考えたことを、行動に移す
視野の広さとともに惹かれるのは、考えたことを実際の行動につなげるところである。
僕自身、考えることと行動することの間には、距離があると思う。分かったつもりになったり、考えがまとまったことで、少し満足してしまったりすることもある。
だから、行動に移す姿勢は見習いたい。
とはいえ、龍馬の生き方を、そのまま自分の日常に当てはめられるわけではない。置かれている時代も、背負うものも違う。
同じことをしようというより、考えたところで終わらない姿に敬意を持つ。そのくらいの距離で読むのが、僕には自然だった。
教訓になる前に、人物として面白い
『坂本龍馬に学ぶ』という題名だから、何かを学ぶために読む本でもあるのだろう。
けれど、僕にとっては、まず龍馬という人物を読むことが面白かった。
仕事にどう使えるか。自分の行動をどう変えられるか。そういうことを、いつも考えながら読んでいたわけではない。
幕末の空気に触れ、その中で動く人たちを知る。
同じ時代でも、見る人が変われば、違う景色になる。ひとりの人物を追っていたはずなのに、その周囲の人や、別の立場にも興味が広がっていく。
その読書の流れ自体が、楽しかった。
この記事で扱った本
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