『風が強く吹いている』を読んで · 読書感想・日々の経験
読み終えたら、走りに行っていた――『風が強く吹いている』
読んだあと、外へ駆け出した。
本当にジョギングに行った。我ながら単純だ。
三浦しをんの『風が強く吹いている』は、それくらい身体がうずうずする小説だった。駅伝の本番の緊張感、走る人が自分の内側で繰り広げる戦い。ページをめくっているこちらにも力が入る。
それだけじゃない。登場人物たちが、みんな濃い。
「そんな濃いキャラ、そうそう揃うかねえ」
笑いながら読んでいた。けれど、いざ走り出すと彼らのことが気になって仕方がない。チームで目標に向かっていても、結局、自分の足は自分で前へ出すしかないのだ。
人のことを笑っていられない
そういえば、僕も学生時代はバスケットボール部だった。
あのチームにも、濃いキャラは揃っていた。人のことを笑っている場合じゃない。
大会が近づくと、いつもの練習にも別の熱が入る。自分のことで精いっぱいになりながら、仲間と競い合い、助け合う。
駅伝とバスケでは競技が違う。でも、同じ目標に向かう仲間がいて、最後は自分が動かなければ始まらない。その感覚は分かる気がした。
だから読み終えてもじっとしていられなかったのだろう。
「今日は休もうかな」
普段から、運動するのが面倒になる日はある。
「しんどいな。少しサボろうかな」
もちろん、本当に疲れているなら休めばいい。ただ、始める前の面倒くささだけで止まっているなら、あの読後の勢いが頭をよぎる。
「もうちょっと頑張れるんじゃないか?」
年齢を重ねれば、今のように身体を動かせない日も来るだろう。あとになって、もっとやれたのに、と悔やみたくない。
小説を読んだだけで体力がつくわけじゃない。当たり前だ。
でも、実際に一度、走り出してしまった。
あの疾走感はいまも覚えている。読書のあとにした行動まで記憶に残る本は、そう多くない。
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