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『トパーズ』を読んで · 読書感想・書評

退廃の中で生きる勢い――村上龍『トパーズ』

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『トパーズ』は、風俗の世界で働く女性たちを描いた短編集だ。性や暴力を含む過激な出来事が描かれる。読みながら心地よくなれる世界ではないのに、そこで生きる人たちから目が離せなくなる。僕の中に残っているのは、絶望的な空気と、その中でも消えない生の勢いだった。

日常の中にある退廃

この本の退廃は、特別な事件が起きた瞬間だけにあるのではない。登場人物たちの日々の暮らしや仕事の中に、すでに入り込んでいるように感じた。何かに傷ついている人が、いつも悲しそうな顔をしているとは限らない。目の前のことをこなし、会話をし、次の日も生きていく。その普通の動きと、置かれている状況の厳しさが同時に見える。

淡々と進んでいた話が、急に過激な方向へ動く。その落差にも引き込まれた。穏やかな日常が破られるというより、もともと危うさを含んでいた世界が、ある瞬間にはっきり姿を現すような怖さだ。読み手が安心できるところに、長く留まらせてくれない。

短い話を重ねていくと、一人の主人公にすべてを託す長編とは違い、人物ごとに別の孤独が見えてくる。細かな場面や各編の題名を今も覚えているわけではない。それでも、同じような世界を描きながら、誰も同じ人には見えなかったという印象が残っている。

過激さの奥にある生の勢い

『トパーズ』には、読む人を選ぶ描写がある。自分も、不快さを覚えずに読んだわけではない。ただ、その不快さまで含めて、村上龍の作品が持つ強さを感じた。

過激な場面だけを取り出せば、刺激の強い本だと言えるかもしれない。けれど、僕が惹かれるのは、それだけでは終わらないところだ。追い詰められたような状況でも、登場人物たちはそこにいる。動き、何かを求め、生き続ける。前向きな希望とは違うが、生命力のようなものを感じる。

『限りなく透明に近いブルー』に近いもの

以前読んだ『限りなく透明に近いブルー』に近い生々しさも、『トパーズ』には感じる。性や暴力を遠くから眺めるように描くのではなく、読む側の近くへ押し出してくる感触が共通している。

『イン・ザ・ミソスープ』も自分の中では絶望・退廃系だが、あちらで強く覚えているのは、いつ暴力が起こるかわからないホラーとしての緊張感だ。『トパーズ』では、過激さが登場人物たちの暮らしに染み込んでいるように感じた。村上龍の暗い作品をひとまとめにしたくなる一方で、本によって怖さの形は違う。

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