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『ハードボイルド・エッグ』を読んで · 読書感想

マーロウにはなれない。その感じがいい――荻原浩『ハードボイルド・エッグ』

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フィリップ・マーロウが好きだった。チャンドラーの小説も何冊も読んだ。

そんな僕が荻原浩の『ハードボイルド・エッグ』に興味を持ったのは、主人公がマーロウに憧れる探偵だからだったと思う。正確なきっかけはもう覚えていない。

マーロウのように振る舞いたい。格好よく決めたい。本人は真剣だ。

ところが、そう簡単にはいかない。

特に秘書とのやり取りが面白かった。理想の探偵像を保ちたいのに、相手の言動で調子を崩される。頭の中ではマーロウなのに、現実はまったく違う。

そこが可笑しい。しかも、主人公を嫌いにはなれない。

必死だからだろうか。どこかピュアで、失敗してもなお憧れを捨てない。格好をつけている姿まで含めて、妙に愛嬌がある。

荻原浩の小説を読んでいて好きなのは、場面が頭に浮かぶところだ。状況を説明されて笑うというより、二人のやり取りが見えるから笑ってしまう。

荻原作品はほかにも何冊か読んだ。人物が生き生きとしていて、つい次の作品に手が伸びる。

この探偵は、マーロウとはずいぶん違う。格好よく決まらない。それなのに、いや、だからこそ面白い。

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